見えない結露が、家を壊す – 結露の正体と住まいへの影響 –

前回は、断熱の正体は「空気」だというお話をしました。
実はその空気には、もうひとつ大切な特徴があります。
それは、空気が抱えられる水分の量は、温度によって変わるということです。

空気の水分量

イメージしてみてください。
暖かい空気は、大きなバケツ。
たくさんの水分をためることができます。

一方、冷たい空気は小さなコップ。
少しの水分しかためることができません。

では、水分をたくさん含んだ暖かい空気が急に冷やされるとどうなるでしょうか。
大きなバケツが、小さなコップに変わるような状態になります。
すると、入りきらなくなった水分が外へあふれ出します。
そのあふれた水分こそが、住まいのお悩みである、「結露」です。

冷たい飲み物を入れたコップに水滴がつくのも同じ仕組みです。
コップの周りの暖かい空気が冷やされ、抱えきれなくなった水分が水滴となって現れているのです。

この結露、目に見える場所だけで起こるものではありません。
家の壁の中でも、同じ現象が起きることがあります。
それが「壁内結露」です。

見えないからこそ怖い「壁内結露」

壁内結露とは、その名前の通り、壁の中で発生する結露のこと。
その「壁内結露」の原因に、前回お話した断熱材「グラスウール」が関係しているのです。

暖房で室内を温めると、室内の空気はわずかに膨張し、外へ逃げようとします。
そのとき空気は必ず水分を抱えたままです。
その空気が壁の中へ逃げていく途中、グラスウールの繊維につかまって動きが止まり、外気にどんどん冷やされ、結露します。
これが、壁内結露が起こる大きな原因のひとつです。

壁内結露

壁の内部の結露により発生したカビや湿気を放っておくと、外壁の黒ずみとして現れるケースもあります。
「外壁が汚れているだけ」と思っていても、実は見えない壁の中で問題が起きている可能性もあるのです。

外壁

今の時期注意したい「夏型結露」

「結露=冬」というイメージを持つ方も多いですが、実は夏にも結露は起こります。
夏の外の空気は、気温が高く湿気も多い状態。
つまり、水分をたくさん抱えた“大きなバケツ”のような空気です。
その湿った空気が壁の中に入り、エアコンによって冷やされた室内側で温度が下がると、抱えきれなくなった水分が水滴になります。
これが「夏型結露」です。

夏型

特に梅雨から夏にかけては、空気中に含まれる水分量が多くなる季節です。
また、日が当たりにくい北側や、お風呂・洗面所・キッチンなど水を多く使う場所では湿気が残りやすくなります。
湿気がこもりやすい環境が続くと、見えない場所で住まいを傷める原因になることがあります。
気温だけではなく、湿度にも注意することが大切です。

住まいを守るために大切な「湿度管理」

結露を防ぐためには、ただ暖かい家・涼しい家にするだけでは十分ではありません。
大切なのは、空気中の水分を上手にコントロールすること。
適切な湿度管理を行うことで、カビの発生を防ぎ、家を長持ちさせることにつながります。
普段は見ることのできない壁の中だからこそ、温度だけでなく「湿度」にも目を向けた家づくりが大切です。

この記事を書いた人

日沼工務店会長
日沼 友明

長年、家づくりの現場に携わりながら「本当にいい家とは何か」を追い続けてきました。
家族が安心し、快適に住めること。それが一番大切だと考えています。
コラムでは、家づくりの考え方や住まいに関するちょっとしたヒントなどをできるだけわかりやすくお届けしていきます。

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