これから少しずつ朝晩が涼しくなり、暖房を使う季節も近づいてきます。
そこで今回は、これからの季節に関わる「蓄熱(ちくねつ)」についてご紹介します。
蓄熱とは、簡単にいうと熱をためておくことです。
暖房で室内を暖めても、その熱がすぐに逃げてしまえば、また暖め直さなければなりません。
一方、家の中に熱をためておくことができれば、暖かさをより長く活かすことができます。
そして、この「蓄熱」を実現するためにまず大切になるのが、これまでお話してきた「気密」と「断熱」なのです。
気密=暖めた室内の空気を外へ逃がしにくくする
断熱=外の寒さを室内に伝えにくくする
まず、この 2つがしっかりできていることではじめて出てくるのが「蓄熱」という考え方です。
蓄熱につながる「外断熱」とは?
今回の蓄熱を考えるうえで、大切になるのが「外断熱」です。
外断熱とは、柱などの構造体の外側に断熱層を設ける方法です。
外から伝わってくる寒さを外側の断熱層で遮ることで、その内側にある柱などの構造体は、外気の影響を受けにくくなります。
例えば、真冬の寒い日に室内を暖房で暖めたとします。
外の気温はマイナス 5℃、室内は 22℃あります。
外断熱によって外の寒さが遮られていると、その内側にある柱なども、暖められた室内の温度に近づいていきます。
つまり、室内の空気だけではなく、柱などの家の構造体も一緒に暖まっていくのです。

家そのものに熱をためる「蓄熱」
柱などの構造体が室温に近づいていくと、そこに暖房でつくった熱をため込めるようになります。
さらに、床や家具など、室内にあるものも室温に近づきながら熱を蓄えていきます。
このように、暖めた熱をため込む構造体を「蓄熱構造体」といいます。
空気だけを暖めるのではなく、柱などの構造体や家具にも熱をためていく。
外断熱によって構造体が室内側の温度に近づくからこそ、こうした「蓄熱」につながっていきます。
蓄熱すると、何がいいの?
蓄熱の大きなメリットは、暖めた熱が冷めにくくなることです。
イメージしやすいのが、真冬のお風呂です。
温かいお湯を張っても、浴室やその周囲が冷えていれば、時間が経つにつれてお湯の温度も下がっていきます。
住まいも同じように、室内の空気だけを暖めても、家そのものが冷えていれば、せっかくの暖かさは失われやすくなります。
一方、柱などの構造体にも熱をためておくことができれば、室内の暖かさが冷めにくくなります。
つまり蓄熱とは、暖房でつくった熱をその場だけで使うのではなく、家の中にため込み、より長く活かすための仕組みなのです。
「気密・断熱・蓄熱」の 3 つで考える
ここまで見ていくと、「気密」「断熱」「蓄熱」は、それぞれがつながっていることが分かります。
気密で、暖めた空気を外へ逃がしにくくする。
外断熱で、外の寒さの影響を受けにくくし、柱などの構造体も室温に近づける。
そして蓄熱によって、その構造体などに熱をため、暖かさを冷めにくくする。
この3つがそろうことで、暖房でつくった熱を無駄にせず、より長く活かせるようになります。
大切なのは、たくさんのエネルギーを使って暖め続けることではなく、最小限の熱量を最大限に活用すること。
暖かさを「つくる」だけでなく「保つ」
普段何気なく過ごしている家も、「どうやって暖かさを保っているんだろう?」という視点で見てみると、少し違って見えてくるかもしれません。
これから家を建てる方も、すでに住まいをお持ちの方も、暖房設備や断熱材だけではなく、つくった暖かさをどうやって逃がさず、どうやって保っているのかにも少し目を向けてみてください。
「気密」「断熱」に加えて「蓄熱」という仕組みを知っていると、住まいの快適さを見る視点が、またひとつ増えるはずです。
